市民が提案する『環境マニフェスト・天理』   2005.9.19

                      環境市民ネットワーク天理 

◇ 提案にあたって

 今回の衆議院解散選挙において、郵政民営化や構造改革が各党の間で大きな争点となりましたが、その他の課題の中でも特に環境問題についてはほとんど争点になることがなかったことは大変残念なことです。今日の深刻で差し迫った環境問題の解決に向けて、行政の役割は非常に大きなものがあると思われます。

一方で、政府が打ち出している「地方分権」「三位一体改革」といった路線は、地方自治体にとって自助努力や自己責任が問われる内容で、各自治体の首長の資質や責任がこれまで以上に重くなってきました。また、首長を選ぶ市民の責任も重大で、これまでのように、単に行政サービスを期待するだけでは済まなくなってきたと言えます。

 私達「環境市民ネットワーク天理」は、天理市における自然環境の保全や啓発活動について、独自に、また、市内の事業所や天理市と協働して様々な事業を実施してきた民間団体です。

 今回の市長選挙では、これまでの活動と経験をふまえて、市民参画型の環境政策を候補者に提案し、名前のとおり「環境を重視する市民」として「未来の市民」(子供達)に胸を張れる町づくりをしていきたいと考えています。

 また、従来の環境政策と異なる特色は、理念的・自然保護的な視点から、人間の生活や経済活動にもプラスとなり、人間が自然界の一構成員として矛盾なく生活できる社会づくりを目指している点です。

 この政策案は、今秋予定されている市長選に向けて急きょ作成したために、内容的に完全なものではありません。また、現状の分析においても、環境に関する具体的なデータや情報得られなかったために、より具体的な政策の提案も不十分なものとなりました。しかし、このマニフェスト試案が、市民による具体的な政策参加の第一歩となり、今後より多くの市民が、町づくりや環境問題に関心を持ち、これらの政策がバージョンアップしていくことを期待します。

皆様の忌憚のないご意見をお待ちしています。

◇ 作成・評価のポイント

 政策案を作成するにあたり、以下の項目についても配慮しました。

@問題を的確にとらえ、一般市民からみて理解・判断しやすい内容か?

A市民参画・協働について配慮されているか?

B目標設定が適切になされ、検証可能で信頼できる約束になっているか?

 

 

◇ マニフェスト政策シート 1

テーマ@ 検討委員会の創設

市民と行政が協働する『天理市環境マスタープラン検討委員会』の創設

現状課題

天理市の環境問題の現状や将来について、市民参加による具体的な検討する場所がありません。ふる里(布留里)天理において「子々孫々まで安心して生活できる環境」とはどんなものでしょうか?

それぞれの課題について関係する者が、利害を超えて集まり、率直に話し合い、知恵を出しあうことこそが、今、最も必要で問われていると思われます。身近なところでも異変がおきつつある環境問題に、もう、一刻の猶予もありません。市民みんなが環境問題の根本的な解決に向けて歩み出す時にきています。地球上に生存する生き物の中で最高の叡智を有すると言われ自負してきた人間が、自分たちの生活だけのために地球には大きな負荷を与え続けています。

政策提案

 これから先50年から100年を見通した、仮称「天理市環境マスタープラン」の作成に向けた検討委員会を創設します。課題別に円卓会議など、必要に応じた小グループによる話し合いの場を設けます。また、環境問題への理解や啓発、より広い意見交換などの場としての環境フォーラムの開催を開催します。

目標設定

2005年度 メンバー選出

2006年度 検討委員会開催・フォーラム開催

2007年度 原案提出・検討・フォーラム開催

2008年度 成案提出・施行

補足事項

予算

委員会・フォーラム開催費用(毎年)
                   50万円

参考資料

「天理市環境マスタープラン」試案
    環境市民ネットワーク天理作成

◇ マニフェスト政策シート 2

テーマA ゴミ問題

市民と行政が協働する『循環型・持続可能な町づくり』

現状課題

ゴミ問題は、私達の日々の暮らしに直結する緊急課題であり、その処理費用は市の財政を圧迫しています。ゴミ処理能力も限界まで来ており、分別回収された資源ゴミが、どのように再資源化されているかの情報公開が不十分であるなど、多くの問題を抱えています。家電リサイクル法制定以降、山林などに家電製品などの不法投棄が増加したように思われます。都市住民の目に付きにくい大和高原のあちらこちらに産廃処分場が建設され、私達の飲料水にも深刻な影響が予想されます。ゴミ問題の最終的な被害者は市民であると同時に、原因を作っているのも私達とそのライフスタイルであるという悪循環が起こりつつあります。

天理市もゴミの減量化や再資源化に取り組んできました。そして、ゴミの有料化に向けた検討委員会を立ち上げ報告書が提出されましたが、有料化でゴミは本当に減少するのでしょうか。ゴミの量を減らすことが求められていますが、一方で、相変わらずゴミは増えつづけています。家庭から排出されるゴミだけでなく、事業所ゴミの処理が大きな課題となっています。

政策提案

○徹底したゴミの減量化を目指して以下の提案をします。

ゴミの減量化や再資源化を進めます。各家庭においては、ゴミを出さなくてすむ生活スタイルへの工夫を進めます。また、ゴミの減量、再資源化に向けた徹底した分別と処理を進めます。

事業所のゴミについても、分別、再資源化、そして減量化が進めば、ゴミの減量化は大きく改善されるはずです。ほとんど手付かずの状態にある事業所ゴミの処理の仕組みを確立します。

最終的には、ゴミを出さなくてよい生活、「ゼロ・エミッション」の実現を目指します。

1 『ゴミどうする円卓会議』の開催

ゴミの問題の現状と分別されたゴミの再資源化等について情報公開し、市民の共通理解と協議する場所を設定します。さらに、市民の当事者意識を高め、主体となってゴミ問題に取り組む体制を構築します。また、ゴミ問題の解決のためには、関係する情報の公開が必要です。

正確な情報に基づいて解決策を協議していきます。

2 民・官・産業界協働による『環境ビジネス特区』の推進

@リサイクル・自然エネルギー利用技術などを有する優良企業を、積極的に天理市に誘致しゴミの減量化を図ります。 

AISO14001取得など環境に配慮した事業所に対して、法人税優遇措置などを行い、ゴミ減量と天理市のイメージアップを図ります。

B生ゴミ・木質バイオマス等については、分別収集システムを確立し、バイオガス・堆肥・バイオマス発電などの有効利用を推進します。

3 『未来の環境市民を育てるプロジェクト』の実施

NPO団体などの協力を得ながら、子供達の環境教育のプログラムを充実させ、小学校の総合学習や地域教育などの講師派遣(環境教育の出前制度)などで支援します。その際、プログラム開発費や講師派遣等の費用を市が負担します。

目標設定

1 → 2005年度 準備期間。2006年度 会議・フォーラム等開催。

2 → 2005年度 準備期間。2006年度 検討委委員会・フォーラム開催。

2007年度以降 順次実施。

3 → 2005年度 準備委員会設立。2006年度 以降順次実施。

補足事項

ゴミ問題の解決に寄与するとともに、市民参加と地域経済の活性化効果が引き出せるよう配慮します。

予算

1150万円(年間)
2200万円(検討委員会・フォーラム
  開催費用)

3100200万円

参考資料


奈良マニフェスト2005
    〜奈良ビジョン21〜

◇ マニフェスト政策シート 3

テーマB 都市緑化

市民と行政が協働する『緑の並木に囲まれたやすらぎの町づくり』

現状課題

天理を訪れる人が最初に目にするのは、市内にたくさん植えられているイチョウなどの街路樹の多さです。約3,000本と言われる街路樹は、市の代表的な景観であるだけでなく、やすらぎの空間を作ってくれています。その街路樹が、近年、不自然とも言える管理によって、樹勢が弱くなり枯死寸前のものも目立つようになってきました。また、落葉樹は、せっかくの紅葉を前に枝が大きく剪定されてしまうこともあります。

緑色植物は、都市のヒートアイランド現象を和らげ、やすらぎの空間を作り出すことが可能であり、全国各地で都市の緑化事業として進められています。国も「緑陰道路推進プロジェクト」(剪定などを必要最小限にして、自然な樹形の街路樹による緑化を目指す事業)の推進を行っており、全国で約30の地区において事業が進められています。

政策提案

 先人の努力によって植えられた街路樹は、市の財産であると考え、この街路樹を生かすことで緑とやすらぎの町づくりを進めます。緑の並木に囲まれたやすらぎのイメージこそ、宗教都市「天理」にふさわしく、集客効果と地元商店街の振興などの経済効果も期待されます。

1、「緑の並木に囲まれたやすらぎの町づくり円卓会議」の開催

 市内の街路樹をどう活かし、どう管理していくか、関係者の共通理解を図り、協議する場所を設定します。会議は、道路を直接管理する県や市の担当部署、警察署、周辺住民、議会代表、園芸業者、そして市民団体の代表などで構成します。街路樹管理についての基本方針や計画、実施に関わる協議を行います。

2、中大路の街路樹を市の玄関にふさわしい姿に再生

 中大路のケヤキ並木については、市の都市計画課が改善する方針を出しています。不自然な樹形になっているケヤキ並木を自然な樹形にもどすための管理を行います。

3、市街地全域を緑陰道路として管理

 天理市を「緑の並木に囲まれたやすらぎの町」として、人々が、訪ねてみたい町、歩いてみたい町、市民にとっても自慢の空間になるような町づくりを目指します。また、仙台市の「百年の杜づくり」事業などを参考に、天理市の町づくりや町の活性化のシンボル的な事業としていきます。

国土交通省による緑陰道路プロジェクト事業への参加も検討します。

目標設定

1 → 2005年度 準備期間 2006年度以降は、年に3回ほど定期的に開催

2 → 2005年度 中大路の適切な管理に着手 2006年度以降の具体的な管理

3 → 2005年度 〜2006年度 準備期間 2007年度 本格的に始動 

補足事項

1 緑陰道路プロジェクト事業には助成金制度があり、市の負担は軽減されます。

2 この事業には、街路樹の周辺に居住されている市民や事業所などに理解をいただくとともに、事業によって増加する可能性がある落ち葉の処理作業への市民の理解と協力が欠かせません。

予算

1、10万円(年間)

2、100万円(年間)

3、800万円(年間の管理費)

参考資料

仙台市「百年の杜づくり」

国土交通省「緑陰道路プロジェクト事業」

 

参考HP http://www.mlit.go.jp/road/road/century/koubo.html

     http://www.city.sendai.jp/kensetsu/100forest/morizukuri/mori.html

◇ マニフェスト政策シート 4

テーマC 河川再生事業

市民と行政が協働する『ホタルが舞う町づくり』

現状課題

私たちは、古くから布留川などの豊かな水の恵みとそれらの水源となる青垣の山々(里山)によって生活が支えられてきました。その河川が、生活排水や工場排水などによって水質の悪化が進んで久しくなります。子ども達が、川の中に入って小魚やカニたちと戯れた時代は、遠い昔となってしまいました。

ところが、近年、その河川の水質が少しずつ改善される傾向にあります。下水道事業の推進や農薬や肥料などの適正な使用などがその原因だと思われます。そして、市役所付近の市街地でも、長い間姿を見ることが無かったゲンジボタルの姿を見ることができるようになってきました。

布留川は、たくさんの分水によって、少ない水を流域全域に有効に流す仕組みができていました。田植えの頃になると、あちこちの小川でせせらぎが聞こえる風景がありました。しかし、車社会の到来によって、小川は埋め立てられて道路となり、また暗渠となっていきました。その結果、ふたをされた小川は、さらに水質の悪化が進み、悪臭を放つどぶ川となっています。

本来、水や川は生き物にとって生命を育む貴重なものです。河川環境の再生が生命の復活に、そして市民の安らぎの場となることはできないものでしょうか。先進地の山口市を流れる一の坂川は、布留川によく似た河川ですが、さらに先を行く、自然な川を目指した河川再生事業が進められています。

政策提案

1、「ホタルが舞う町づくり円卓会議」の開催

 河川の管理に直接携わっている人や周辺の住民、そして市民によって、市内の河川環境の現状と課題について検討する場を設けます。

2、ホタルが舞う川を目指した清掃活動などの実施

市内を流れる川を昔のようにホタルが舞い、メダカやサワガニが生息する川に再生します。川の清掃を行うとともに、水質改善のための啓発活動を行います。また、ごみの不法投棄を無くします。川の中から私達の生活を見ると、今まで見えなかったことがずいぶん見えてくるものです。

3、限りある水資源を有効利用と水質の改善

 昔の人々が水を大切に利用してきた知恵に学び、現在に生きる者としての立場から水を有効に使います。暗渠の一部は、元の川に再生します。自然流量を確保し、たくさんの生き物が生息することができるよう水質の改善に努めます。

4、河川改修における治水面での安全確保と多自然型工法の導入や河川再生事業

すべての河川の改修にあたっては、多自然型工法によって行います。(多自然型工法とは、生き物の生息環境の保全と治水面でも安全を目指した工法です。)また、市街地や村落内を流れる河川の改修に当たっては、川の景観や環境に配慮しながら、自然な河川の再生を目指します。

目標設定

1→2005年度 メンバー選出 準備期間  2006年度以降 定期的に開催

2→2006年度以降 川の再生事業の立案・実施 

3→2006年度以降 実施可能なところから実施

4→2006年度以降 河川改修工事に適用していく。 

補足事項

 テーマBの緑化事業と連携することで、相乗効果が期待されます。

予算

1→10万円(年間)

2→0万円(年間)

3→河川改修費(公費)

4→河川改修費(公費)

参考資料

 

山口市「一の坂川の河川再生事業」

参考HP http://www.pref.yamaguchi.jp/gyosei/kasen/kasen-kyoukai/jigyou.html#itinosaka

◇ マニフェスト政策シート 5

テーマD 森林保全 

市民と行政が協働する『水源の森づくり』

現状課題

1、布留川上流部では、ゴミの不法投棄や産業廃棄物処分場が急増しています。

天理ダムは、天理市民の飲み水の約半分を供給する重要な水源の一つです。平成14年には「産業廃棄物処理施設の設置許可問題」の発生に伴って、水源保護の目的で「天理市水道水源保護条例」が制定されました。しかし、天理ダム周辺やダムに流入する支流では、ゴミの不法投棄、大小の産業廃棄物処分場の建設、残土による埋め立てなどが今でも続いており、水源の水質悪化の大きな原因になっています。

2、東部山間部では、農業などの地場産業の低迷、高齢化、過疎化が進行しています。

近年の農林業の不振や後継者不足によって、休耕田、手入れされない植林が増加しています。このことは、里山の自然環境の変化とともに、治水能力の低下による下流域への洪水などの災害の増加も危惧されています。また、緑色植物による二酸化炭素吸収などの機能が十分発揮されなくなることにも繋がっていくと考えられます。最も危惧されることは、放棄された里山や田畑が産廃業者の手に渡り、水源地の水質汚染問題に拍車がかかることです。

政策提案

1、布留川水源地の里山、スギ・ヒノキ林に地元と市街地市民、行政が協働して植林・間伐などを行い、その保全活動(水源の森づくり)を推進します。

@水源地保護の為の条例を整備します。

A市民と行政が「水源の森づくり」について話し合う懇談会を年1回程度開催します。

B水源地・市街地市民交流型NPO団体設立に対する助成金制度を創設します。

水源地と市街地の市民が交流し、里山、棚田などの生産緑地を保全する活動を主な目的にするNPO(または相当団体)を対象とします。使途目的は特に制約せず、上限50万円を最長3年間助成し、それ以降は自主財源で自立することを原則とします。また、中心メンバーは、水源地域と市街地市民がバランスよく構成されることが望ましい。

2、棚田のお米やシイタケ、その他野菜などの農産物について「地産地消」運動の推進

 棚田で生産されたお米や野菜、シイタケなどを現地直売所や市街地のアンテナショップ、地元商店などで優先的に販売します。(政策1とも連携する)このことによって、過疎化に歯止めがかかり、地元商店街の特色作りにも役立つことが期待されます。また、消費者と生産者が直接向き合うことで、減農薬農産物の需要・供給量が増え、食の安全も確保されます。シイタケの原木栽培は、里山の有効利用であり、森林保全に大きく貢献します。

目標設定

1−@ → 2006年度中に実現。

1−A → 2005年度中に1回目開催。

1−B → 20052006年度準備期間。20062007年度創設。

2 → 2005年度準備・調査。2006年度から市民にPRし、具体的に運動を推進

補足事項

1、条例を整備し、政策提案1の活動に参加することで、助け合う地域社会の創造、環境問題に対する意識の向上が期待されます。また、水源地における市民の監視の目が強化されます。

2、地産地消運動に農業生産者と消費者が参加することで、農業・商業などの地場産業の振興に役立ち、過疎化・産廃処分場建設に歯止めがかかります。

予算

1、市民交流型NPO団体助成金
            300万円(年間)

2、「地産地消運動」啓発活動、助成金
           200万円(年間)

参考資料

 

奈良マニフェスト2005

〜奈良ビジョン21〜



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